介護者支援につながる
家族で介護を抱え込まずに社会全体で支える、いわゆる介護の社会化を目指すという理念のもとに始まったのが、介護保険制度です。その介護保険制度の中で、とりわけ介護者の負担軽減を図った制度がショートステイです。これは、自宅で介護を行っている家族が、さまざまな理由で一時的に介護ができない場合に、要介護者が福祉施設や医療施設に入所するものです。このショートステイは、一般的には家族が旅行や病気、出産などで介護ができないときに利用されています。加えて、自宅で介護を行う際のいくつかの問題を解消することも期待できます。例えば、介護離職の問題です。家族の介護を理由に仕事との両立が難しいと判断し、離職を選ぶ人は年々増加傾向にあります。会社の介護休業制度とショートステイを上手く利用すれば、離職という道を選ばずに済んだかもしれません。
また、ショートステイは老老介護の深刻さも和らげる可能性があります。70代の人が90代の親の介護をするとなると、介護疲れも計り知れません。一時的にでも介護から離れることができれば、きっと負担も軽減されるはずです。さらに、災害時においてもショートステイ利用は重要です。具体例として、ある60代夫婦の場合です。住んでいる家が広域浸水により避難所に避難しようとしていました。しかし、夫が認知症なので避難所から行方不明になる危険もあります。そこで、普段からデイサービスなどで利用していた介護施設に夫の介護保険によるショートステイという形で、夫婦一緒に個室に避難できたそうです。このようにショートステイは、さまざまなシーンで介護者を支援してくれます。